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はじめに

Qualtrics とは

Qualtrics (https://qualtrics.com/)とは、Qualtrics 社が提供する、Web 上でアンケートを作成・実施するためのサービスである。Qualtrics を利用すると、以下のようなオンラインアンケートを作成できる。

Qualtrics は多機能であり、研究目的に応じて多様なアンケートを作成できる。このマニュアルでは、心理系調査を行うために Qualtrics を使いたいと考えている日本のユーザーを想定して、アンケートを作成するために必要な・知っておくと便利な機能や操作方法を紹介する。

本マニュアルの内容に関しては、Eastern University で公開されている英語版の Qualtrics User Manual から一部抜粋・要約した。


Qualtrics 導入のメリット

Qualtrics を導入することの最大のメリットは、研究実施者と回答者の双方の負担が軽減できることである。従来、調査を実施するためには、授業中に時間をとって回答してもらうか、調査用の質問紙を持ち帰ってもらい、回答後に回収して、データを入力するという手続きが一般的であった。Qualtrics を利用すれば、回答者は PC やスマートフォンを用いて好きな時間に好きな場所でアンケートに回答することができる。このことは、回答者の研究参加への自発性を高めることにもなる。また、研究実施者にとっては、手動でのデータ入力や大量の質問紙を印刷する必要がなく、調査実施やデータ入力にかかる負担を大幅に軽減させることができる。特に、データ入力における人為的なミスや時間的コストを削減できる のは大きな魅力といえる。

また、オンラインアンケートならではの強みとして、項目や尺度の表示順のランダマイズや、回答に応じた条件分岐も簡単に行える。アンケート作成時に適切な設定を行えば、条件別の質問紙を作成したり、配布時にランダマイズを行ったりする煩雑な手続きから解放される。


アカウントの設定

名古屋大学大学院教育発達科学研究科(心理発達科学専攻)の構成員は、機関契約の有料アカウントを使用することができる。詳細は構成員向け情報を確認するか、指導教員に問い合わせること。


使用言語の設定

  • アカウント作成時の使用言語は英語に設定されている。アカウントのトップページ右上、登録時に入力した名前が表示されているボタンをクリックし、Account SettingsChange Languageで言語の設定ができる。
  • 日本語 – Japaneseを選択すると、管理画面が日本語になる。

※無料アカウントについて

Qualtrics のアカウント作成は個人でも無料で行うことができるが、データのダウンロードができないため、使用しないこと。 以下の情報は参考のために残しておく。

  • Qualtrics のトップページ無料アカウントをクリックし、必要事項を入力したら始めましょうをクリックする。 >
  • アカウント作成時に入力したメールアドレスに Qualtris からのメールが届く。また、ブラウザ上で Qualtrics の規約が表示されるため、内容を確認し、画面下部の同意するをクリックすると、アンケートの作成が可能になる。

無料アカウント (trial accounts) では、有料アカウントと比較して、下記のような制限がある。詳しくは公式ページを参照。

有料アカウント(機関契約) 無料アカウント
同時に実施可能なアンケート数 制限なし 1
保存可能な回答数 制限なし 100
回答のダウンロード 可能 不可
(ブラウザ上で集計結果を閲覧可能)
利用可能な質問の種類  制限なし(※) スタンダードタイプのみ
(多肢選択、テキストフォーム等)
その他 リッチコンテンツエディター、HTML・CSS・JavaScript 使用不可

(※)契約プランによっては「ファイルのアップロード」や「グラフィックスライダー」といった機能を利用するためには、アドオンの購入が必要となる。

なお、本マニュアルでは扱わないが、個人契約で有料アカウントを利用するには、無料アカウントでログイン後、プランをアップグレードするオプションを選択すると、「Q Lite」、「Q Plus」といったプランが表示される。クレジットカードで支払いを行うことで、アップグレードが可能である。ただし、プランの詳細については、Qualtrics 社の Web ページでは公開されていない。また、他機関で機関契約での利用を検討する場合、Qualrics 社まで直接問い合わせること


オンラインアンケートを実施するためのサービス

オンラインアンケートを実施するためのサービスには、さまざまなものがある。ここでは、心理学の調査で利用されている代表的なサービスを比較する。

Qualtrics SurveyMonkey (★1) Google フォーム
アカウント 有料 有料 無料
利用可能な質問の種類 70+ (★2) 15 11
質問のランダマイズ・分岐 O O
タイミング機能 O X X
サポート・マニュアル 日本語マニュアル by 五十嵐研
公式サポートページ
公式動画 平島太郎氏の解説ページ
アンケートのカスタマイズ 動的で対話的な調査
JavaScript が利用可能
X
(簡単な HTML 編集は可能)
X
(簡単なアドオン有)

★1: SurveyMonkey には、無料プラン (Basic account) があり、100 人までのデータ収集およびデータのダウンロードが可能。

★2: 基本的な質問の種類が 20 個あり、さらにそれらをカスタマイズできるため、70 種類以上となる。なお、質問のカスタマイズ機能はあらかじめ備わっており、HTML や JavaScript を用いた高度な編集は必要ない。

眞嶋良全氏の Noteでは、オンラインの心理学実験・調査に利用可能な各種ツールが紹介されている。